濡れた襞が包み込むように亀頭に触れた。
  のナカは人の身体とは思えないほど熱く、そして脈打っている。
  少し、腰を押しつけただけでまるで飲み込まれるようににゅるりと滑り込んだ。

  「あ‥‥アっ」

  が切なげに目を細める。

  今まで薄い膜越しに感じていたそいつのナカは‥‥死ぬほど気持ちが良かった。

  くそ、
  と悪態をついてしまう。
  そうしないと‥‥呆気なくイってしまいそうだった。

  蠕動する内部が俺のものを扱き上げるように奥へと誘う。
  直接触れる胎内は熱く、柔らかく、俺を包み込む。
  時に優しく、時に荒々しく。

  「‥‥辛く、ねえか?」

  中程まで埋め込んで苦しくないかと訊ねたら、は生理的な涙を浮かべて首を振った。

  「じゃあ、もっと奥‥‥入れるからな。」

  宣言してもう少し奥までねじ込む。

  久しぶりに感じるの胎内は‥‥いつもよりちょっと狭い。
  あれだけ濡らして、慣らしたってのに、そうなのは‥‥多分一月ぶりに男を受け入れるからだと思う。
  その間に誰にも身体を許していなかった事に安堵した。
  彼女に言えば‥‥そんなことするはずないと怒られるのは分かっていたから黙っておく。

  「あ、ま、待って!」

  もう少しで奥に突き当たるという手前でが突然恐れを含んだ声を上げた。
  見下ろすと彼女は顔を歪めて泣いている。

  「悪い、痛いか?」

  「ちが‥‥」

  は頭を振った。
  その瞬間、ぽろりと涙が零れる。
  泣くほど痛いのを我慢しているのかと訊ねようとしたら、はどうしようと震える声で呟いた。

  「気持ち‥‥良いの‥‥」

  ひ、とは喉を震わせた。
  同調するように内部が引き締まり、俺は先走りがとろりと漏れるのが分かった。

  「きもち‥‥よすぎて‥‥どうにかなっちゃいそう‥‥っ‥‥」

  切なげに、でも蕩けるような表情で俺に抱かれる女がいる。
  俺と繋がるのが嬉しいと。
  気持ちがいいと。
  身体全部で教えてくれる女がいる。

  そう思ったら、もう、自制が利かなかった。

  「っ」

  ぐじゅっと胎内を突き破るみたいに思いっきり奥まで貫く。
  そうするとは目を見開いて背を撓らせ、まるで陸に揚げられた魚みたいにぱくぱくと唇を開閉させた。
  音が出ていない。
  今度は逆に入り口ぎりぎりまで引き抜いて、ナカの襞を全部伸ばすみたい引き延ばす。

  「ああっ――」

  それと共には声を漏らした。

  甘ったるく、俺の思考を狂わせる声を。

  「あ、や、やぁっ‥‥だめっ、だ、めえ‥‥」

  「なにが、駄目、だって?」

  膝裏を抱えて腰を下ろし、次は重点的に弱い所を擦ってやる。
  下から揺すると同時に柔らかな胸が躍るように揺れた。

  のナカの感じる所を全部えぐり取るみたいに、何度も何度も亀頭の先で擦りつける。

  ぐちゃぐちゃと濡れた卑猥な音が響いた。
  俺が動けば動くほど、内部の動きは激しくなり、声は高くなり、そして、絡む蜜が増える。

  不意に、

  「っ――!?」

  の目が見開かれた。
  見開かれたかと思うと、内部の動きが小刻みに痙攣するようなそれになり、は恐れの表情で俺を見上げてくる。

  「や‥‥や、なに、これぇっ‥‥」

  未知なるものに遭遇したような反応だった。
  ああそうか‥‥
  俺はぼんやりと思った。

  そういや‥‥ナカでイクのは初めてじゃねえか?

  そういえば‥‥そうだ。

  こうして繋がって‥‥ナカを擦られてイクのは初めてだ。

  「やぁっ!」

  怖い、とは顔を顰めて何かに縋るみたいにシーツを握りしめた。
  それを解いて引き寄せると自分の背中へと導く。

  「大丈夫。」

  初めてイク時は怖い、と誰かが昔言っていたのを思い出す。
  ワケの分からない状態になって不安になるのだと。

  誰が言っていたのかはもう覚えていない。

  ただ、が怖がっているんだとしたら‥‥放っておけなかった。

  「俺はここにいる。」
  「っ」
  「怖かったら、しがみついてろ。」

  いいな?と目を覗き込んで確認する。
  は琥珀のそれを心細げに細めた後、こくんと頷いて俺の首に齧り付くみたいにしがみついてきた。

  「ひじ、かた‥‥さっ‥‥」
  「ここにいる。」

  しっかりと小さな身体を抱きしめて、何度も何度も揺する。
  俺の全てを刻むために。
  彼女の全てを刻むために。

  奥まで、全部、刻むために。

  何度も何度も。

  「ひじかた‥‥さ‥‥あ、あ、なんかっ」

  ――くる――

  それが反射的に分かった。

  そして、

  「あぁあああああ―――!!」

  まるで悲鳴みたいな声がの口から上がった。
  脚の指先まで丸めて、めいっぱい力を込める。
  苦しいくらいの締め付けに一瞬、生まれる‥‥苦痛。

  次にやってくる、

  「ぅ‥‥あっ――」

  掻きむしりたくなるほどの、快感。

  俺は躊躇うこともせず、思いのままにの内部へと全部を吐き出していた。

  ゴムをしないでナカに出したのは‥‥生まれて初めてだった。