そいつの唇は、ひどく、柔らかくて、甘い。 触れただけで溶けてしまいそうな感触に、脳髄までもが痺れていくのがわかった。 もっと、もっと味わっていたくて、 「んっ」 強く押しつけて、唇で食む。 ゆるゆるとした刺激に押さえつけた身体はびくっと震え、五指を絡めた指に力がこもった。 微かに爪を立てられてちりりと肌を裂く感触に腰に甘い痺れが走る。 もっと。 もっと。 「ひ‥‥んぅっ」 僅かに唇を離せば俺を呼ぶ声が聞こえ、途中でまた塞がれた。 開いていた事を好機とばかりに舌先を忍ばせれば思ったよりも熱い口腔が俺を出迎える。 「んっ、ンンッー！！」 不躾な侵入者に抗議の声でも上げるかのようにくぐもった声がの口から漏れる。 上顎の裏、歯茎、柔らかな頬の内側。 それを丁寧に撫で上げ、やがては逃げまどう舌を根本からゆっくりと舐め上げて、 ねっとりと強く、絡めた。 「ふぅっ‥‥」 途端、は鼻に抜ける甘ったるい声を漏らして抵抗の力が一気に止んだ。 きつく、深く、それこそ舌を根っこから引き抜くように強く吸って、唾液を送り込む。 甘ったるいそれが二人の口の中を行き交い、 「ん、んっ」 が小さく声を漏らしながら嚥下する音が、俺の欲を煽った。 とてつもなく‥‥興奮した。 「‥‥ぁ‥‥や‥‥」 力無い抵抗の言葉を発する唇を解放してやり、流れた唾液を辿るように唇を滑らせる。 そうしながら手もゆっくりと下ろして、着物の上から身体の稜線をなぞるように触れればはぴくんと身体を震わせた。 「だめ‥‥ひじかた‥‥さ‥‥」 帯を解き、着物の戒めを解く。 ゆったりと滑る着物の裾から手を差し込んで緋襦袢の下、普段はサラシの下に隠れた膨らみに手を伸ばした。 俺の手に余る、思ったよりも大きな膨らみに俺は驚いて小さく息を飲んだ。 こんなものを良く隠せておけたもんだと感心しながら、それよりも掌に伝わる柔らかな感触に理性が蝕まれていく。 軽く揺らすように触れれば途端に襦袢を押し上げる二つの尖りが指先に触れた。 何を隠しているんだと意地悪く摘むと、 「あっ！」 は目を見開いて、驚いた‥‥と言うにはあまりに色を含んだ声を漏らした。 「っ」 漏らしてしまってから、恥ずかしいのか、は顔を赤く染め、唇をきつく噛みしめてしまう。 紅を差した唇がそれよりも赤くなる様が扇情的で、堪らない。 堪える様子を見ていたいと思いながらそれよりももっと色っぽく素直に啼いて欲しくて、 「や、やだっ！」 とうとう襦袢の内側に手を滑らせる。 両手で、胸元を押し開くように。 そうすると、ふわんと中から零れ出たのは形のいい、大きな乳房だった。 中心は綺麗な桃色だ。 襦袢を押し上げたそこは、固く、尖っている。 まるで、触って欲しいと言うみたいに。 「や、だ、だめっ！」 俺はその誘いに乗った。 迷わず乳房の中心に唇を寄せれば途端に広がる甘い味。 「あアっ」 柔らかさを堪能しながら舌先で胸の尖りを掠めればの口から甘ったるい声が上がる。 ずん、と腰を一気に重たくさせるような破壊力のある、声。 甘く、媚びるようでありながら、どこかに恥じらいと抵抗を含んでいて、 「‥‥もっと‥‥」 俺は譫言のように囁いて、もう片方の乳房を手で嬲った。 強く指を沈ませ、ぐにぐにと形を変えさせ、そうして弱い乳首を指の腹で捏ねて、あるいは先だけを爪で引っ掻く。 逆の乳房を強弱をつけて吸い上げながら時折歯で先を潰すとすぐ傍で震えた音が漏れて、すぐにさっきと同じような、甘い声が零れた。 「やぁ‥‥だめ‥‥だ‥‥ぁあっ‥‥」 だめ、と何度も言いながら力無くは頭を振る。 何が駄目なんだ、善いんだろうと弱い部分への愛撫を一層強めると、びくんとの腰が浮いた。 ぴったりと密着させているせいで、そいつの股ぐらが俺のそこに押しつけられる。 ぐりぐりと強く押しつけられる度に、その下で一物が大きくなっていくのが分かった。 「‥‥そんなに煽って‥‥しらねえぞ。」 乳房から唇を離し、てらてらと光る軌跡を滑らせる。 大きな膨らみの根本にも口づけて痕を残し、細く締まった腹へ。 くぼんだ臍に舌先を潜らせてくるりと一周させればくすぐったさに「ひゃあ」という声が上がり、俺はそれを楽しみながらもっと下へと‥‥膝を着いて、襦袢を止めている腰帯を解いた。 「‥‥そ、そこは‥‥」 壁に文字通りべったり張り付いた状態では恐れにも似た声を漏らす。 はらりと落ちる襦袢の下から現れた白い布きれは、にとっては最後の砦。 恥ずかさのあまりに閉じようとした脚を、太股を軽く押さえて脚の付け根に口づける。 「っ！」 びくんっと太股が強く震えた。 淡く色づく肌に一層赤く咲いた華を眺めながら、やがてゆるやかに最後の一枚へとたどり着いた。 「ひじ‥‥かたさ‥‥」 「ちゃんと、脚開いてろよ。」 ガキに言い聞かすみたいに言って俺は恥ずかしがるを上目に見ながら、ゆっくりと噛んだ布を下へと引きずり下ろしていった。 ころころと飴でも転がすみたいに俺はそれを舌先で転がした。 そうしながら熱い内側を二本の指で押し広げて、擦り上げると、甘い香りが一層強くなる。 「ぁあっ、やだぁっ‥‥やぁあんっ！」 香りと共に上がる甘ったるい嬌声に、下肢が疼いて堪らない。 そんな声を出すなと小さく囁けば、歯が当たったらしくてはきゅうと俺の指を強く締め上げる。 そうしてゆるっとまるで誘うみたいに腰をくねらせた。 「厭らしい女だな‥‥そんなにここ、舐められるのがいいのか？」 「や、ちがっ‥‥だめ、舐めちゃ‥‥うぁああ、んっ！」 ちろ、と舌先で擽るように触れればまた腰が揺れた。 「どうだ？ 自分の上司に傅かれて、恥ずかしい所を嬲られる感覚は‥‥」 跪いてべたべたにのそこを濡らしながら問いかければ、そいつは恥ずかしそうに目を細めて、唇を噛みしめて俺を見下ろしてくる。 それでも、とんでもなく卑猥な光景を認めたくはないのか、すぐに視線を逸らして、 「ばかぁっ」 とまったく威力のない罵声を浴びせる。 照れ隠しの、可愛らしい抵抗に、俺は思わず笑みが漏れた。 くつくつと忍び笑いを漏らしながらゆっくりと立ち上がり、噛みしめて真っ赤になった唇に自分のものを押し当てる。 ちゅ、と軽く啄むとの眉間に皺が寄った。 構わず舌を忍ばせて深く絡めれば、すぐに「ん」と甘ったるい声が漏れ、表情は蕩けるようなそれになる。 愛しくて‥‥堪らない。 すとんと、布が落ちる音が聞こえ、それでは琥珀を開いた。 濡れたそれは不安げに俺を見ている。 「‥‥入れるぞ。」 短い宣言にそいつが覚悟を決める間も与えずに、 「んっ」 ぐ、と切っ先をねじ込んだ。 が苦悶の表情を浮かべる。 自分でもひどい事を強いているのはよく分かった。 壁に凭れ掛かって、立ったまま、の挿入は、そりゃ女に負担を掛けるだろう。 でも、 俺は止まらなかった。 否、止まれなかった。 「あっ‥‥」 べたべたに濡らしたおかげですんなりと切っ先が滑り込んだ。 だが、その途端に火傷しそうな胎内のとんでもない出迎えが待っていた。 柔らかな肉がまるで強く扱くかのようにうねる。 おまけにあふれ出した蜜が程良く絡みついてぐちゃぐちゃと聞こえる音が俺の興奮を高め、 なにより目の前のの苦しそうな、 だけど、感じた女の表情が‥‥煽った。 「っつ‥‥」 俺は堪えきれず下腹に力を入れると、 「ひあっ――！？」 欲望のままに一気に奥まで刺し貫いた。 文字通り、 貫かれたは背を弓なりに撓らせてはくはくと喘ぎ、その瞬間に絶頂に達する。 ぎゅうっと引き絞る力に抗えずに、俺は律動を開始した。 の顔が再び苦悶に歪んだ。 「あ、だめっ、まだ‥‥やだぁあっ！」 いや、と抵抗するように伸びた手が俺の肩を力無く押す。 繋がった場所からびりびりと甘い痺れと強い快感が全身まで響き、飲み込んでいく。 「だ、めっ、そんな‥‥はげしっ‥‥」 「だめだ、止まらねえっ」 「ひぁあっ！！」 もっと強く絞れとばかりにの脚を抱え、壁に押さえつけて激しく内部を突く。 奥を突いた瞬間、内部が激しく痙攣し、は目を見開いて悲鳴みたいな声を漏らした。 「だめぇっ、奥、おく、いやぁっ！」 「馬鹿、言えっ」 腰を押しつけたまま奥を抉るように擦り上げる。 は拒絶とは思えない甘い声で「駄目」と言い放ち、やはり拒絶とは思えない強い締め付けを俺に与える。 「奥、いいんだろ？ 咥えこんで、離さねえ‥‥」 「あ、だめっ、だ‥‥んっ‥‥！！」 ずるっとの背中が滑る。 そのままずるっと力を失ってへたり込みそうなのを、腰に手を回して支え、更に身体を密着させて深く突く。 「なんだ？ 腰が抜けるほどいいのか？」 「やっ‥‥んんっ、ぁああっ！」 意味を為さない声を上げ、は喉を晒して身体を歓喜に震わせる。 閉じられなくなり甘い声を上げるだけの口の端から唾液がこぼれ落ちた。 それさえも艶めかしく美しいと感じるのは、俺がどうしようもなくこいつに溺れている証拠だろうか？ なあ、 と俺は囁くように言った。 力で、 快楽で、 ねじ伏せても俺の手の中に落ちてくれないその美しい人に、 俺は囁くように言った。 「俺のものになれよ。」 身勝手な感情で、俺は言う。 「俺だけのものに、なれよ――」 なあ、 と呼びかければ琥珀が虚ろに俺を見つめた。 欲に支配されながらもどこか輝きを失わない綺麗な瞳が俺を見抜くように見つめていた。 その瞳の輝きさえも、俺は欲しいと思った。 多分どれほどに望んだってそいつの全てを掌握した事は出来ないだろう。 でも、それでも、 俺は望んでしまう。 「俺だけのものになれ――」 誰でもない俺だけに全てを許し、俺を受け入れて欲しいと思った。 その答えは、甲高い悲鳴と、 叫びたくなるほどの快感に変わった。 全身が心臓になったかのように、どくどくと脈打っているのが分かる。 一気に駆け上がり、そして落下する感覚が身体を襲い、次にやってくる言葉に表せない快感と、怠さに、ただただ荒い呼吸を繰り返した。 力の入らない華奢な身体をしっかりと抱きしめて、 俺は、余すことなくそいつの胎内に熱を注いだ。 「‥‥謝らねえぞ‥‥」 やがて勢いが収まり、お互いの呼吸が楽になってきた頃、俺はぽつんと呟いた。 言葉にそれまで俺の肩に顔を埋めていたそいつは気怠げに身体を起こして、俺を睨み付けた。 こんな酷いことをしておいて謝らないとはどういう了見だ――と言わんばかりに。 「俺は、間違った事はしてねえ。」 「‥‥人を、無理矢理抱くのは間違った事じゃないんですか‥‥」 「無理矢理だったのは謝る。」 悪かったなと憮然とした態度で言うと、の眉間の皺は濃くなる。 だが、と続けた言葉に、 「おまえを抱いた事に関しちゃ、謝らねえ。」 ぱちくりと目を瞬いた。 これに関しては謝るつもりは皆無だった。 だって、それは間違いじゃねえ。 「俺は、おまえが好きだから抱いた。」 「っ！？」 見るからに驚いたという顔では肩を震わせる。 「なんだよ‥‥驚く事じゃねえだろ？」 「お、驚きますよ‥‥だって、そんなの‥‥」 あり得ないと言いたげなそいつに俺はむっと眉を寄せてなんでだよと再度問う。 「好きでもねえのに毎日、馬鹿高い金を使って会いに来るかってんだよ。」 「え？早く情報が欲しいからじゃないの？」 「あほかてめえは。 仕事なら山崎に行かせてる。 わざわざ自分で来たのはおまえに‥‥」 会いたかったから。 仕事なんて、都合のいい言い訳だ。 そう、 俺はただ会いたかった。 こいつに会いたくて、会いたくて。 馬鹿みたいに金を使って毎日ここに来た。 「でもそんなの‥‥土方さん今まで全然そんな態度‥‥」 まだ信じられないといった風に呟く言葉に、そりゃ、と俺は言いよどんだ。 確かに、そいつの言うとおりだ。 ずっと前から好きだったけれど、そんな態度を微塵も見せたことは無かった。 あくまで上司と部下という立場は崩さなかったし、好きだからといって特別扱いをしたこともなかった。 どちらかといえば兄弟‥‥みたいな色気のない関係だったと思うし、それが楽だったと言えばそうだ。 でも、 「‥‥おまえが、そんな格好してたら‥‥」 が、 女の格好をしているのを見たら。 綺麗に着飾っている姿を見たら。 「‥‥黙っていられなかった。」 俺はもしかしたら、恐れていたのかもしれない。 女の格好をして、綺麗になったが‥‥ 横から誰かに奪われるのが。 総司の言うとおり「誰かに傷をつけられる」のが怖くて、 だから、毎日、ここに来て傷を付けられないように見張っていたのかもしれない。 誰のものにもなってほしくなくて。 いや、 俺のものになってほしくて。 「‥‥だから、焦って私に手を出したの？」 呆れたような声に俺はう、と言葉に詰まる。 いや、その通りなんだが‥‥そう言われると俺がなんだかがっついたガキみてえじゃねえか。 「ガキ、じゃないですか。」 「‥‥‥」 すぱっと言い捨てるを睨んだ。 ガキじゃねえ。 少なくともてめえよりは年上だ。 「ガキです。 母親においていかれて不安がってる子供と一緒。」 「‥‥うるせぇ‥‥」 「もういつからそんな恐がりになっちゃったんですか？」 「‥‥っ！！ っつか、おまえもおまえだっ！」 一方的に「ガキ」だと呆れたように言われて、俺も思わず声を上げてしまう。 「なんで抵抗しなかったんだよ！」 どうして黙って最後までさせたんだと言うと、はかぁっと頬を羞恥で染めて、そんなのと上擦った声で反論した。 「う、うわ、なにその言い草！ 好き勝手に人の身体弄んで、勝手に上り詰めちゃった張本人がそう言うこという！？」 「好き勝手‥‥って、てめえだって最後にゃ強請ってたじゃねえか！」 「ねだ‥‥違います！ 抵抗できないように追いつめたくせに何言ってるんですか！」 「いーや、逃げようと思えば逃げられたはずだ。 おまえなら俺の隙をついて急所を狙う事だって出来ただろ。」 懐刀と言われた副長助勤が、いくら弱い部分を責められていたからといって全く反撃できなかったはずはない。 俺の隙はあちこちにあったはずだし、恐らく普段より無防備だったはずだ。 それなのには反撃しなかった。 抵抗だって最初の少しくらいで‥‥ 「ひ、土方さんがやらしい事いっぱいするから何も考えられなくなったんですよ！」 「そんなの、おまえがあんな厭らしい声を出すからだろ！」 「ち、違う！土方さんが変な事したから変な声が出たんです！土方さんのせいです！」 「仕方ねえだろ！」 開き直ったのは俺が先だ。 仕方ないだろうと言えば、は目をきょとんと丸くして、俺を凝視する。 俺は琥珀をじっと見つめて、そっと、らしくもなく照れて小さくなる声で呟いた。 「おまえが‥‥可愛かったから、止まらなかったんだよ。」 「なっ――！？」 は絶句しながら一気に顔を真っ赤にさせた。 恐らく、音をつけるとしたら「ぼん」だ。 炎が弾けて、爆発するみてえに一気に真っ赤になって‥‥そして、 「‥‥‥‥」 しゅううと白い煙を立てて鎮火するみたいに、は勢いを無くして俯いてしまう。 耳まで真っ赤にして黙り込んだにふんと鼻息荒く、告げる。 「悪いかよ。」 「‥‥‥‥」 からの返答はなかった。 おい、ともう一度声を掛けて耳元にそっと唇を寄せる。 吐息が触れたことがくすぐったかったのか‥‥或いは感じたのか分からないが、びくりとは肩を震わせた。 意地悪くそれを見てにやりと笑いながら、わざと吐息が掛かるように囁く。 「なあ、。」 「や‥‥耳っ」 やめてとは言い、俺の肩を押しのけようとする。 その手には全く力が入らず、ふっと吹き付けた時に逆にぎゅっと縋り付くみたいに着物を握りしめられた。 「な、。」 「な‥‥なに？」 そのまま唇を耳朶に押し当てて緩く食み、そこから背けた頬に口づけを落とすと「なあ」ともう一度声を掛けた。 は真っ赤な顔を逸らし、瞳だけをこちらに向けて涙目で「なに？」ともう一度、震える声で訊ねてきた。 「‥‥俺は答えが聞きたい。」 「な‥‥んのっ‥‥」 ぺろと頬を舐めると「ひゃ」との口から小さな声が漏れた。 くすぐったいと抗議の声を漏らすそいつの目はみるみる内に欲を滲ませる。 恐らく同じ色を湛えた俺は、なあ、とまた甘ったるく声を掛けた。 「本気で抵抗しなかったのは‥‥どうしてだ？」 そこに理由があるとしたら、 俺と同じ答えをそいつは持っているに違いなかった。 「‥‥‥」 は答えず、視線を背けてしまう。 「なあ、。」 「う、うるさい‥‥」 「答えろよ。」 「やだ‥‥土方さんの策になんかのらなっ‥‥んっ」 逃れようとする唇を、塞ぐ。 柔らかく押しつけて、離して、 次は強く押しつけて、 舌を絡めて、 吸って、 舐めて、 「‥‥。」 「っ」 「答えないなら、もう一度‥‥するぞ。」 畳の上に組み敷けば、は涙目で俺を見あげて、言った。 「答えても‥‥する、くせにっ」 確かに。 答えが俺の予想通りならば‥‥そう、なるな。 にやと口の端を持ち上げて笑う俺の考えに気付いたはじゃあと、頭を振った。 「絶対、答えない。」 「‥‥可愛くねえ女。」 「その、女に溺れてるくせにっ」 「違いねえ。」 小さな手を取り、重ねれば自然と絡められる指先。 向けられる怒ったような瞳の奥に確かに見える切なく熱い感情に、間違いではないのだと俺に教えてくれる。 「‥‥」 ならば、俺はただただ彼女に教えてやるだけだ。 泣き出しそうな顔になるそいつに、ただ、この気持ちを教えてやるだけ。 「おまえを‥‥愛している。」 重なる体温は、 やっぱり俺と同じ熱さ。 多分自分は彼女に心底惚れている リクエストいただきました「土方さんの嫉妬ネタ」 色町に潜入するにべた惚れなお話です。 この人の嫉妬ネタはものすごく楽しいです♪ リクエストありがとうございました！！ 実はもっとハードに書きたかったりしたんですが、 これ以上はちょっと問題あるので（苦笑）