「怪我人だから無理をするのは許さない」
って事を最初に約束させられた。
傷は塞がってるから大丈夫だと言ったんだが、はそれだけは聞き入れてくれなくて、
そんならおまえにあれこれ注文するけどいいのか?
って聞いたら、は心底恥ずかしそうな顔で、
「‥‥左之さんが、望むなら」
と可愛い事を言ってくれた。
はらりと帯を解いて前をはだける。
羞恥で止まる手を助けるように肩口から手を差し込んで衣を滑らせると白く細い肩が露わになった。
そうすると二つの膨らみが目の前に飛び込んできて、それが俺の想像していたよりも大きくて思わず喉が鳴る。
形のいい、柔らかそうな膨らみの中心は淡い桃色で、どんな食い物より甘く、美味そうに見えた。
「‥‥っ」
迷わず手を伸ばして掌に包み込む。
大きな俺の手に、丁度いいくらいの大きさのそれは何かが詰まって固いのかと思いきや、とんでもなく柔らかくて滑らかだった。
指が沈み、思わず、おお、なんてわけの分からねえ声が出る。
初めてでもねえくせに、女ってこんなに柔らかかったか?なんて思っちまうほどだ。
「さの、さっぁ‥‥」
それを両手でそれぞれ掴んで、ぐにゅと形が変わるまで揉む。
不規則に指先に力を込めて揺らすと、たぷたぷとまるで水が揺れるみてえな音が、肌がぶつかって聞こえた。
その合間に微かに、が恥ずかしそうに上げる声が混じる。
「んっ」
俺に触られて感じたのか、ぷくっとそいつの赤い乳首が立ち上がった。
それに指を引っかけて擽ると一層その肌に赤みが差す。
堪えるようには唇を噛み、手の甲を口に押し当てた。
「噛むなよ?」
「‥‥っ」
声を、噛んで堪えるのは無しだと先手を打つとは泣きそうな顔で俺を見た。
そんな顔しても駄目だ。
おまえを傷つける行為をおまえがする事は許さねえ。
「んんっ!」
更に指で摘んで引っ張ると、はびくりと大きく体を震わせて俺の両手首を掴んだ。
「‥‥なんだ?」
涙目で見下ろすそいつを上目に見遣り、訊ねる。
はだめ、と震える声で言った。
「さきっぽ‥‥だめ。」
「気持ちよくねえか?」
「わかってる、くせにっ」
恨みがましい声に俺はくつくつと笑った。
ああ、分かってるよ。
気持ちが良いからやめろってんだろ?
でも、
「あっ、だ、めっ」
きゅむとまた摘むとは思わず大きな声を漏らして、すぐに唇を赤くなるまで噛みしめた。
だめと言う声に言いしれぬ艶が交じり、俺は下肢が熱くなっていくのが分かる。
「女を気持ちよくしてやるのが、男の役目だろ?」
「そ、そんなの‥‥しなくて、いい、からぁっ」
「だーめ。」
ちゅと、反らしたせいで突き出す形になった顎に唇を寄せて吸い上げながら、左右交互に弄くった。
は細い悲鳴みたいな声を上げて、快楽を逃がそうとするように頭を振った。
爪の先で引っ掻いたり、強く引っ張ったり、あるいは押し込んだり、捏ねたり、繰り返していく内に一層色が鮮やかに染まり、痛々しげな、だけど、ひどく美味そうな色に変わっていく。
「‥‥」
そいつを舐め上げようとして、ふと身体を丸めるかに膝立ちになってもらわねえと届かない事に気付いて、
「なあ、。」
「ん、な、に‥‥?」
「吸いてえ。」
「‥‥え?」
俺の言葉には意味が分からないと言う風に声を上げる。
だから、と俺は両の乳首をきゅっと摘んで、に甘ったるい声を上げさせると、
「吸いてえんだよ、こ・こ。」
と言った。
「っ」
は言葉を漸く理解したのか、見る見るうちに顔を真っ赤にして、口をぱくぱくと金魚みてえに開け閉めしながら、震える声でそんなこと、と呟く。
できない、とが言い切るよりも前に、俺はこう言った。
「‥‥怪我人の注文‥‥聞いてくれるんじゃなかったのか?」
「っ!!」
琥珀が見開かれた。
が「する」と決めた事だ。
俺に無理をさせないために、すると、決めた事。
「〜〜〜〜っ」
はしばし、小さく唸りながらどうしようかと迷うみてえに視線を左右に泳がせて、
やがて、
覚悟を決めたらしく諦めたように肩を落とした。
「‥‥わかり、ました‥‥」
俺と目を合わせるのは恥ずかしいのか、視線を逸らしたままじゃあ、とは言った。
「横に、なって。」
「了解。」
嬉しそうに言いながら、命じられた通りに仰向けになる。
「なったぜ?」
「‥‥」
は悔しそうに唇を噛みしめながら、腰を持ち上げて、俺の身体の上を移動した。
腹に触れねえように少し上の方に跨ると、ぎこちない動作で身体を前に倒す。
すげぇ恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていたそいつは、まるで強請るみてえに自分の胸を自ら俺の顔に近づけるっていう光景を見ていられなくなったらしい。
「っ」
俺の頭の横に肘を着いて、目をぎゅっと瞑った。
その恥ずかしそうな顔が堪らなく、そそる。
俺は目前に捧げられた柔らかい胸の膨らみをじっと見た。
ふっくらとしたそれの先は、赤く腫れ上がり、俺を誘うかのように震えている。
「ん‥‥」
その一つを下から押し上げるように持ち上げると、俺はつきだした舌先で、べろりと輪郭をなぞった。
「ひンッっ」
途端、の口から甘ったるい悲鳴みてえな声が上がる。
目を瞑ってるせいで予期できなかったんだろう。
慌てて目を開いて、だが、すぐに俺の行動を見るとまた慌てて目をぎゅうと瞑っちまった。
ぎゅっと布団についた拳が握りしめられる。
力んだところで堪えられるようなもんじゃねえと思うんだが‥‥
「‥‥っぁっ」
尖りの周りをくるりと撫で上げ、やがてたどり着いた先に舌を絡ませながら口に含む。
迎え入れたそれは人の身体とは思えねえくらいに柔らかくて、甘い。
吸い上げたら果汁が溢れてきそうで、強く吸うと、
「ぁうっ、んっ」
びくっとは身体全部を震わせて声を漏らした。
漏らしてしまってからまた、恥じ入るような顔になって、更に唇を噛みしめる。
じゅ、と赤ん坊が母親の乳を吸うように、何度も何度も吸い上げ、そうしながらもう片方を手で弄った。
「ぁっ‥‥くっ‥‥んんっ」
その度には堪えきれねえって感じで甘ったるく漏らし、その度に身体が震えた。
右の乳房をたっぷり吸い上げた後、左に移って同じように吸い上げる。
交互に指と、舌とで愛撫してやると、その内、の腰が焦れったく揺れはじめた。
「あ‥‥ん、ぁ‥‥あっ」
無意識なんだろうが、前後にゆらゆらと揺れるそれはまるで挿れられて自ら腰を振ってるようにも見える。
何にも汚されねえような高潔さを持つそいつが、快楽に服従して自ら求めるみてえだ、と思うと俺は興奮して堪らなかった。
揺らす度に滑らかな内腿の肉が俺の肌を苛むように触れる。
膝を立ててなきゃ、俺の一物がどんな状態か‥‥っつーのがばれちまっただろう。
なんだよ、まだ胸しか弄くってねえってのに、俺の方が我慢できなくなってるじゃねえか。
「‥‥あっ!?」
我慢できなくなって、俺はごそと手を下に忍ばせる。
幸いそいつが上の方に上がってきてくれているから易々と股の間に手を差し込む事が出来た。
が慌てて俺の手から逃げようとする前に、穿き物の中、下帯の中に手を突っ込むと迷うことなく濡れた女陰に指を突き立てた。
「ひぅっ!?」
ぐにゅと独特な感触が俺の指を挟み込み、一瞬、拒絶するみてえに力が込められる。
俺はそれを難なく力でねじ伏せると、ずるずると奥まで差し込んだ。
「ぁ‥‥ああっ」
咥えこむ裡は熱く、蠢いていた。
異物を吐き出そうというよりは奥へ奥へと誘うようなそれに、間違いなく求められているんだと確信した。
指の付け根まで押し込むと、より一層柔らかい肉壁が俺の指を迎える。
指先であちこちを探るように触れれば細い腰がびくりと震えた。
「さのっ‥‥やだ、だめぇっ」
上体を保っていられなくなり、は俺の上に倒れ込む。
遠慮無く口元に胸を押しつけられるような格好になって、俺は苦笑で「俺を窒息死させるつもりか?」と茶化しながら身体を上に少しずらした。
そうしながら指をもう一本増やして、入口を押し広げると冷えた空気を孕んで、くぷんと弾ける。
「だ、だめ、さのさ‥‥ゆび、ふやしちゃ‥‥だ、めぇっ」
二本の指で抜き差しを繰り返せばがひどく切なそうな声で懇願した。
「なんだよ、だめなのか?」
「だめっ、なのっ」
ぐちゅと濡れた音を響かせて抜き、再び押し込む。
ひ、と掠れた悲鳴を上げて背を撓らせると、は俺の耳元に顔を寄せて「だめ、やめて」と繰り返しか細く訴える。
その切なる響きが俺の欲を更に煽り、
更に細腰に手を添えればひっきりなしに動く身体がどうしようもなく熱くさせる。
俺の指の動きは激しくなり、そればかりかその上で膨らんで痛々しいまでに赤くなっているだろう花芽を親指で擦り上げた。
「ひぁっ――!」
途端、口から一際高い声が上がる。
女が一番悦ぶのが、そこだ。
勿論もそうで、芽を擦り上げた瞬間きゅうっと引き絞るみてえに中が締まった。
ついでに奥からとろっと蜜が溢れてくる。
「ぁっ、や、そこ、だめっ」
「だめ、じゃねえだろ?こんな、咥えこんで、離さねえくせに。」
「やぁ、んっ‥‥だめ、だめっ」
さのさん、と切羽詰まった声で呼ばれて俺は手を一度止めた。
そうするとひくひくと催促するように中も、外も震えて、ついでに俺を見る瞳に切望するような色が浮かぶ。
「‥‥さ‥‥のさ‥‥」
腰を抱きながら上体を起こして、ついでにころんとを仰向けに倒した。
だめ、と上がる声を唇を塞いで封じ込めると、口づけを交わしたままの穿き物を下帯ごとぐいとはぎ取る。
膝まで引っ張り上げ、片方ずつ足を抜く。
足首を掴んだ瞬間、なんて細さだと思った。
その細い身体を今から滅茶苦茶に俺が抱くのかと思うと、自分ではあり得ねえと思った凶暴な感情が浮かんでくる。
華奢な身体に欲を突き立てて、奥まで揺さぶって、壊れる限界まで上り詰めてえ、なんて。
「ぁ‥‥あっ‥‥」
衣擦れの音に気付いては視線を下に向けた。
覆い被さる俺が、下帯を解けばそこから現れるのは男の一物だ。
すっかり天を指したそいつはこれ以上ねえってくらい膨れあがって、まさに刃のように尖っている。
それを見ては羞恥と、それから恐れの色を浮かべた。
やっぱり駄目、と身体を起こそうとするよりも前に唇をまた、塞ぐ。
「ん、ふぅっっ」
そうして蜜を塗りたくるように割れ目にぐりぐりと押しつけるとくぐもった声が俺の唇に吸い込まれて消えた。
ぬちゃぬちゃと性器を擦り合わせるたびに響く水音がとんでもなく卑猥で、俺は腰がぶるりと震えるのを止められそうに、ねえ。
「‥‥ん‥‥は、ぁ‥‥」
唇を離して同時に腰を少し、引く。
先走りさえ滲ませるそれをゆっくりとひくつく蜜口に宛うとは琥珀を大きく見開いた。
「だ、だめ‥‥やっぱり、ここじゃっ‥‥」
無理、と肩を押し返されたが俺は余裕のねえ苦笑で、
「もう、やめられねえよ。」
切っ先をねじ込んだ。
「ひぅっ!!」
突き立てた瞬間に悲鳴みてえな声が、漏れる。
そのくせ迎えた胎内は熱く蠢いて、
「く、そっ」
俺の方がうっかりこのまま果てちまいそうになった。
んな情けねえ姿をさらすわけにはいかねえ。
下腹に力を入れて、一度息を吐くと、こみ上げる射精感をやり過ごして、ずるずると腰を進めた。
俺は気持ちよくて仕方ねえって所だが、貫かれるにとっちゃ苦痛以外のなにものでもねえだろう。
なんせあの小さな所に俺のもんをねじ込んでるんだから。
「さの、さぁっ」
苦しげには声を上げた。
肩に添えられた手がかたかたと震えている。
「お、っき、ぃっ‥‥」
「‥‥悪い、苦しいか?」
俺のもんは、身体のでかさと同じように、でかい、らしい。
華奢な女にはちっとばかし辛いかもしれねえ。
はくはくと空気を求めるように喘ぐは苦しげに眉を寄せて喉を晒しながら、むり、と訴えた。
「も、はいんなっ‥‥」
「まだ、半分も入ってねえぞ?」
「や、うそっ、こわれ‥‥ちゃ‥‥」
無理、という言葉を照明するみてえにの膣がきつく締まる。これ以上中に入らせまいとするようなそれに、俺は少しだけ強引に腰を押しつけた。
「ひぅっ!!」
切っ先が押し広げるみてえに突いた瞬間、は目を見開く。
狭かった膣道は受け入れるように開きはじめ、やがては俺のものを扱き上げるような動きに変わる。
「たまんねぇな‥‥こりゃっ」
は、と漏れた声は掠れて余裕がねえ。
「さ‥‥の‥‥ぁっ‥‥」
「狭くて、熱くて、吸い付いて、きて‥‥」
「やぁっ、あ、あっ」
「‥‥くっそ、すぐに出ちまいそうだ‥‥」
棹がすげぇ、痛ぇくらいに腫れ上がってる。
早くこん中にぶちまけてえって‥‥叫んでるみてえで、それをきゅうきゅうと熱い肉の壁に扱かれて、催促されて。
「、おまえ、俺をどうしてえんだ?」
問いかけてもは苦しげに眉を寄せたまま頭を振るだけだ。
俺の問いかけが届いているのか、いねえのか、は分からねえ。
ただ、感じているのは確かで、奥に潜れば潜るほど、の顔に愉悦の色が浮かびだした。
「ぁっ‥‥は、ぁっ‥‥」
痛みを堪えるために閉じたそれを開いて俺を見上げるそいつは、
どうしようもねえくらい、
綺麗で、
可愛くて、
色っぽくて、
だから、おまえは俺をどうしたいんだと苦笑を漏らしながら唇を合わせた。
と、
切っ先が凝ったような何かに触れる。
の子宮だ。
もうそれ以上は、本当に入らねえ‥‥ってか、根本まできっちり埋め込んだから俺もこれ以上は無理だ。
「全部、はいった。」
唇を離してこつんと額を合わせる。
はうん、と涙に濡れる瞳を恥ずかしそうに伏せながら頷いた。
「さのさんの、奥、まで、感じる。」
「まだ、苦しいか?」
問いかけるとはふるっと首を振った。
「‥‥苦しくない。」
「そうか。」
俺はふと笑ってこめかみに口づけた。
小さな身動ぎに連動するかのように中が締まる。
危うく出そうになって「こら」と叱るとが謝った。いや、悪いのはじゃねえ、俺が、堪え性がねえだけだ。
「そんじゃ、動くぞ。」
「‥‥さ、左之さん待ってっ」
宣言して動こうとするとが待ったを掛ける。
ここまで来てお預けってのは絶対無理だぞ、と俺が眉を寄せると、そうじゃなくてとは言いながら、躊躇いがちに唇を開いた。
「声、我慢、できないから。」
はまだ気にしている、らしい。
不知火に、声を聞かれる事。
んなこと気にすんな、むしろ聞かせてやれば牽制になるだろと思うんだが‥‥
はだから、と恥じ入るような表情を浮かべて、言う。
「私の口、塞いで。」
――とんでもねえ発言だ。
いやまあ、言いてえ事は分かるが、言うに事欠いて「私の口、塞いで」かよ。
それってなんか、やばい響きがしねえか?
つか、そういう事をこういう状況で言われると‥‥なんつうか‥‥異様に興奮するっていうか‥‥
「‥‥左之さん?」
黙り込んだ俺を見て、は不思議そうな顔をした。
どこか無邪気ささえ感じるその様子にも思わずくらりと目眩がする。
いや、だから、おまえはいちいち俺を煽りすぎだ。
むらっと身体の奥からこみ上げる衝動が限界に達して、俺は半眼でそいつを見下ろすともう我慢できねえとばかりに腰を揺すりはじめた。
勿論、の言葉をさっぱり無視して、だ。
「ひっ、ぁあっ――!!!」
ずるりと引き抜いた瞬間には喉を晒して喘ぐ。
そいつはすごくイイ声で、俺はやっぱり口を塞ぎたくねえと思った。
もっと、聞いていたい。
「だ、めっ、さのさぁっ!」
「だめ、じゃねえよっ」
ずぶりと肉を貫くような音さえさせて最奥まで再びねじ込むと、の爪先がぴんっと跳ねる。
「俺には、女に猿ぐつわを咬ませて悦ぶような趣味は、ねえんだよ。」
どうしても、っていうなら別の機会にしてやる、と言うとは俺を涙目で睨み付けて馬鹿と罵倒した。
それも再び腰を引くと甘ったるい嬌声に代わり、弾けるような声に、は手の甲を噛みしめる。
「っと‥‥‥そいつは駄目だ。」
白く細い手首を掴んで頭の横に縫い止める。
そのままぐんぐんと下から腹の方を突き上げるように動かす。
「ふぁっあっ‥‥やだぁ、やっ‥‥ああぁんっ」
そうすると感じるのか、の喘ぎが一層激しく、切なげな響きを持って放たれる。
腰にがんと来るような甘ったるい声で、俺はまた「たまんねぇな」と気がつくと呟いていた。
我を忘れてがんがんと突き上げるように動かすと、泣き出す寸前みてえな顔に歪めて、きゅうと遠慮無く俺を締め上げた。
引き絞るようなそれに先走りを零しながらただただ貪るみてえに腰を揺らす。
ガキだってこんながっついちゃいねえ。
まるで獣だななんてどこかで感じながら膝裏を更に床に押しつけるようにして深く突き刺した。
「ひぐっぅ、ァッ‥‥さの、さぁあ‥‥」
甘えるように呼ぶ声に応えるみてえに口づけを落とす。
舌先を絡めて強く吸いながら腰の動きを止めずに柔らかく熱い膣を犯した。
俺の先走りとの胎内から溢れた蜜が絡まり合い、卑猥な水音となって漏れる。
泡立つぐらい激しく動かしたらがくぐもった声を上げて奥まで咥えこんだ一物をぎゅっと咎めるみてえに締め上げた。
その時、
「おい、原田。」
まるで現実に引き戻すかのようにそいつの声が聞こえた。
「っ!?」
不知火の声だった。
途端、はぎょっとしたように目を見開いて肩を震わせる。
慌てて俺の肩を押し返して離れようとするのを唇を合わせたままぐりと最奥を抉ると「んん」と悩ましげな声を上げて腰をくねらせた。
無粋な野郎だ‥‥なんて内心で勝手な事を言いながら、は、との唇を離す。
黙っててそいつが中に入って来られちゃ、困る。
さっきは見せつけてやれとか思ったが、のこんな可愛い顔を他の野郎に見せるわけにはいかねえ。
「‥‥開けんな。」
険を含んだ声で言うと、外でなんだと?と怪訝そうな声が上がる。
そりゃそうだろうな。突然開けるな、って言われても普通は不審に思う。
「いいから、開けずにそのままでいろ。」
「‥‥ああ?そりゃどういう‥‥」
「で、何だよ、用件は。」
反論を許さずに訊ねると、不知火はああ、とかなんだかよく分からねえ声を上げる。
「の奴、見なかったか?」
「っ!?」
問いにがびくっと身体を震わせた。
まずい、しまったとか、そんな言いたそうな顔だ。
「風呂が空いたから入れって言おうとしたんだが‥‥」
不知火の言葉に俺はちろっとを見下ろすと、そいつは青くなったままどうしよう、なんて呟いていた。
ただひたすらこの状況をどうしようとかそんな事を考えてるんだろうが、俺の腕の中にいながら考えるのは俺が以外の男の事‥‥ってのは気に入らねえ。
おまえは俺だけの事を考えてりゃいいんだよ。
とでも俺は言い聞かすみてえに徐に腰の動きを再開した。
「ひぅっ、んんーっ!!」
は慌ててあげ掛かった声を噛み殺し、それでも熱い呼吸が漏れそうになって、俺の手を強引に振りほどくと口を押さえて堪えた。
涙目で俺を見あげるそれには咎めるような色が浮かんでいる。
それもすぐに快楽の淵に追いやられて求めるような色が浮かんで、柔らかい内腿が俺の脇腹を催促するみてえに挟んで、撫でた。
悪戯な両足を抱え上げて更に深く抉ると細い背が撓り、ふるりと柔らかな胸が躍る。
びりり、と膣が痙攣をはじめた。
まるで波紋が広がるみてえに震えが広がっていき、は両手で口を押さえたそこから堪えきれない喘ぎを漏らしはじめる。
絶頂が、近い。
「だ、め、おねがっ‥‥うごか、なっ、でぇっ」
このままでは、不知火の前であられもない声を上げてしまう。
はそれだけは嫌だと懇願した。
そいつはちっとばかし可哀想な上に、不知火には勿体ねえ。
俺は分かってるよと安堵させるように笑いかけ、おい、と外の不知火に言った。
「になら後で言っておいてやるよ。」
「ああ?あいつの居場所知ってんのか?」
「ああ、ここにいる。」
しれっとした言葉にがぎょっとした。
なんてことを言うんだって非難するような眼差しに悪いと笑いかけて、恐らく、外で言葉の意味を理解できずにいるだろうそいつに、こう言い放った。
「察しろ――」
無茶苦茶な、でも、手っ取り早く分かりやすい言葉に、まるでだめ押しするみてえに、
「んぅっ――」
艶を含んだの声が上がった。
運悪くいい場所を擦り上げちまったらしい。
もう、我慢できないとでも言うような声に、どんだけ鈍い人間にだって気付くだろう。ああ、勿論鬼でも、だ。
がしまったという顔をして、すぐに本気で泣きそうな顔をする。
あやすように優しく髪を撫でると、抗議の証に俺の背中に手を回して、耳元で「ばかぁ」と涙を含んだ声で詰った。
外で不知火が溜息を盛大につく気配を感じ、
「傷が開いてもしらねェからな。」
なんて怒ったような呆れたような声を零して、ぺたぺたと気怠げな足音が、遠ざかる。
そうしてぱしんと、襖を閉める音が。
ほ、と俺は溜息を零すと、そんじゃ、と細い背中に手を回して、宣言した。
「遠慮無く、いくぞ。」
「ん、ぁあっ――」
言うや否や激しく抜き差しを繰り返せばはもう躊躇わずに声を上げた。
きゅうと締め付けるそれも強くなり、さらにもっとと言う風にの細い足が俺の腰に絡みつく。
「悪かったな、散々、待たせてっ」
もう待たさねえからなと掠れた声で囁きながら更に奥へ奥へと誘おうとする胎内を強く、突いた。
水音は激しくなり、互いの口から漏れる声も切羽詰まったものにかわる。
「さの、さっ」
は縋って、俺の名を呼んだ。
左之さん、と呼んで、すぐに、
「さの‥‥すけ‥‥」
左之助、と呼んだ。
そう呼ばれた事で、俺たちの中で明らかに今、何かが分かった気がした。
何が、と聞かれても分からねえ。
ただ、何かが変わった。
俺も、も、今の瞬間、気持ちがしっかりと繋がった。
「っ」
「左之助っ‥‥左之助っ」
まるでそれしか知らねえように、は俺の名前を呼び続ける。
心の底から求めるような呼びかけに、心の奥が苦しいくらいに熱くなり、同時に身体の方は一気に上り詰めていく。
「なか、出すぞっ」
腰の奥に溜まったもんがぎりぎりの所までこみ上げてきてる。
もう堪えきれねえ。
「んっ、だし、てっ」
は縋り付きながら泣き声混じりに答えた。
「さの、すけ‥‥の、全部、わたしに‥‥」
頂戴という声が掠れて、耳朶を擽った瞬間、腰にびりりと強く甘い痺れが走り、それが一気に駆け抜けていく。
「っ――」
瞬間、今までよりも強く奥の凝った所までを一気に突き上げた。
その瞬間、ぎゅうっと食い千切るみてえに膣が締まって、
「あ、あっ――」
びくりと細い背が撓り、背中にきつく爪が立てられる。
が達したのと少し遅れて、快楽に下がった子宮を押し上げながら俺も今まで堪えていたものを全部吐きだした。
翌朝。
部屋で朝飯を待っていると、邪魔するぜと言う声と共に不知火が顔を出した。
そいつは俺を見るとにやりと口元を引き上げて、からかうように言う。
「よお、原田。
昨夜は随分と遅くまで起きてたみてェだな。」
どっかと腰を傍らに下ろしながらちろっと俺の腹を見る。
「傷口が開いたとか、んな間抜けな事にはならなかったみてえでなによりだ。」
「お陰様で、な。」
冷やかすような言葉を、あっさりと返す俺につまらなさそうに不知火はちっと吐き捨てた。
「なんだよ、つまんねェな。」
「生憎と男にからかわれて悦ぶ趣味はねえんだよ。」
「オレだって男をからかって楽しむ趣味はねェよ。」
ただ、と不知火は不満げに鼻を鳴らした。
「死にかけて、まだ傷も治りきってねェのに女を抱くような馬鹿には一言言っておかなきゃ気がすまねェと思っただけだ。」
「ああ、安心しろ。
馬鹿とは何度も言われてる。」
にそりゃもう昨夜、たっぷりと、馬鹿と言われた。
不知火に言われるまでもなく、俺は自分が馬鹿だって事は分かってる。
死にかけなきゃ、自分の本当の願いに気付かねえくらいの馬鹿だって事くらい。
「‥‥不知火、俺は‥‥」
ぽつんと零し掛けると、ふいに障子戸が開いた。
瞬間、ふわりと美味そうなにおいがして俺たちは二人揃ってそちらを見て、
「。」
そこに立っていたは俺の呼びかけに驚いたような顔になった。
見開かれてた琥珀が見ているのは不知火、で、
「‥‥よぅ、。
昨夜は随分と盛り上がったみてェだな?」
意地の悪いそいつの言葉は、が動揺するのを確信しているようだった。
だが、
「‥‥おはよ、不知火。」
次の瞬間、隙のねえ満面の笑みをは浮かべてみせる。
なに?と驚いたように声を上げるのは不知火だ。
にっこりと笑ったままのは、膳を片手にすたすたと部屋に入ってくると、俺の前にとんとそいつを置いた。
「お、悪い。」
「いいえ。」
やっぱり満面の笑顔で答え、それから不知火の方に向き直って、
「不知火ももう食べる?
だったらお膳運ぶけど?」
なんていつもの調子で話しかけるもんだから、面食らったのは不知火の方だ。
「あ、ああ‥‥頼む。」
なんて完璧に拍子抜けしたように応えれば、はすっくと立ち上がって「すぐに用意をしてくる」と言って出ていっちまった。
ふわ、と上がる白い湯気を覗き込んで、ああ、今日は浅蜊の味噌汁か、なんて思いながらその奥にある煮物を見て、俺は、思わず、笑みが浮かんだ。
「なんだよ、あいつ。全然気にしてねェじゃねえか。
鬼の姫さんは神経も図太いってことか?」
まったく、と吐き捨てるような不知火の言葉に、俺は違うぜと否定の言葉を口にする。
不知火は何がだよと問いかけた。
「あいつは、男に抱かれた翌日に何でもねえ顔が出来るほど、器用でもかわいくねえ女でもねえよ。」
なんでもねえ顔をしちゃいるが、本当は俺と顔を会わせるのも恥ずかしくてたまらねえんだろう。
なんでだ?と問いかけるそいつに俺はほら、と碗を差し出してみた。
その中にあったのは、
大きめに切られた芋と、
昨夜、子供にもらったって言ってた綺麗な石が並んでいた。
勿論そいつはわざと入れたっていうにはあまりに綺麗に野菜や汁と混ざり合っていて、
多分、間違って、入れたんだと言う事を俺に知らしめる。
しかも、椀に盛ってなお、気付かないとか、どんだけ‥‥
「‥‥‥」
不知火はそれを見て、無言になった。
「な?可愛い奴だろ?」
今頃、一人勝手場で真っ赤んなってどうしようとか悩んでる姿が目に浮かぶ。
人一倍恥ずかしがり屋のくせに、それを人には見せまいと一生懸命取り繕ったのが、目に見える‥‥なんてよ。
昔じゃ考えられねえよ。
誰の前でだって、自分を晒す事は決して無かった。
それが見える‥‥っていうのは、それだけが俺に気を許してくれてるって事で。
「‥‥本当に、可愛くて仕方ねえなぁ。」
ころんと転がる石を見ながら笑うと、不知火は呆れたような顔で勝手にやってろと言いながら両手を後ろについた。
「原田、てめェはもう前線から退いた方が良い。」
「‥‥ああ?」
顔を上げると不知火は俺を見もせずに、吐き捨てるように言った。
「んな不抜けた顔をしてる奴がまともに新政府軍と戦えるわけがねェだろ。
てめェにはあの女鬼と一緒に、平和呆けしてる方が似合うってんだよ。」
付き合ってられねえと言いたげな不知火に、俺は、ふ、と笑った。
そうかもしれねえ。
いや、
そうだ。
俺にはもう、槍を手にとって戦う事なんざ出来ねえ。
あいつを、
惚れた女を手放してまで戦いてえなんて‥‥思えねえ。
「‥‥そう、だな。」
いや、もう、
俺はあいつを手放したく、ない。
漏らした呟きに、不知火は笑った。
それがどんな顔だったかは、見ていなかった俺には分からねえ。
ただ、何かを思い出したようにちょっと待てよと不知火は突然口を開いた。
「‥‥なんだ?ってことは、オレの飯にも石が入ってるかもしれねェってことか?」
「‥‥あ?ああ、そういうことになるだろうな。」
ころんともう一度碗を傾け、軽く石を鳴らせる。
不知火は鼻の頭に皺を寄せた。
「んなもん食わされてたまるもんかよ!
今すぐ止めてくるぜっ!」
「あ、おい、不知火っ!」
戸をまるでたたき割るみてえな勢いで開くと、ばたばたと慌てたように不知火は出ていった。
待てこら、馬鹿女、とか聞こえたのがちっとばかしむっとしたが、まあ、良い。
ころりと転がった石を指でつまみ上げれば、また、笑いがこみ上げてきた。
――とりあえず俺は今、幸せでいっぱいなんだから。

死に際に思い出したのは
ただ愛しい人の事だけでした
アニメのあの後。
どうしてもどうしても書きたくて
書きました!!
恐らくエロス度はだいぶ高いかと
思いますが、悔いはない!!
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