それからとはなんとなく気まずくなってしまって、オレは朝飯を食うと部屋に引っ込んだ。
  ものすごく腹の中が気持ち悪くて、オレはふて寝でもするみたいに布団を被って‥‥なんでだどうしてだと自分に訊ねた。
  いくら考えても答えなんか出なくて、その度にオレはむかついて仕方がなくて。
  もう何も考えたくねえとばかりに目を瞑って頭から布団を被っていたら、気付いたらうとうして眠りに就いていたらしい。
  目を覚ますと微かに開いた障子戸の隙間から茜色の光が差し込んでいた。
  昼を食い損ねたと思うよりも前に、がやっぱり起こさなかった事にオレはなんだか、悲しさっつか、虚しさを感じて
  いた。
  あいつは、
  オレを見放しただろうか?
  こんなオレを、もう、見限っただろうか?

  「‥‥」
  オレはふと自嘲じみた笑みを浮かべて、立ち上がった。
  見放されても、見限られても、仕方のない事をオレは、した。
  それでもなお、オレはに傍にいてほしいと思ってる。自分勝手で弱い自分に、うんざりした。

  「‥‥あれ?」
  勝手場にならがいると思って出ると、そこにの姿はない。
  夕飯の用意をしていたのか、まな板の上には野菜と包丁が置きっぱなしになっていた。
  勝手場から外に続く戸が薄く開いていて、外に出てるのかと顔を出してみたけれどそこにの姿はない。
  おかしいなと思って流しを見て、オレは籠の上に置いてある魚がすっかり乾いてるのに気付いた。
  夕飯の為に水から上げた、というよりは、もっと前、
  そう、昼前から上げていたかのように魚の表面は乾いていて、
  「っ!?」
  オレは慌てて中に引き返した。
  オレの隣の部屋がの部屋だ。
  悪いと思ったけど戸を開ければ、そこにはちゃんと畳んだ布団が端に寄せられている。
  まさか出ていっちまったのかと焦ったけれど、箪笥の横に立てかけてある刀を見てそれは違うと判断した。
  の愛刀、久遠。
  出ていくんなら絶対にそれを持っていくはず。
  じゃあ、出ていったんじゃないとしたら?

  「‥‥まさか、どっかで‥‥」

  オレはざあっと血の気が引いて、草履を引っかけるようにして穿くと外に飛び出した。
  空は茜色から闇の色へと徐々に色を変えていく。
  人里離れた山奥に住むオレたちが、町に行く以外、外に出る用事と言えばあまりない。
  あるとしたら‥‥

  「沢っ」

  生きていくために必要な水は、少し山の奥に入った所にある沢から汲んでくる。
  足場が少し悪いのが難点だけど、そこだと美味い水を飲む事が出来た。
  きっとそこだとオレは薄暗くなる林の中に飛び込んだ。
  闇がまるでオレの行く先を阻むように落ちてきた。
  オレは、構わず走った。


  沢までたどり着いたときには、オレの身体はまるで川にでも飛び込んだかのように汗だくになっていた。
  昼も食ってないから腹は空いてるはずなのにそんなこと感じなくて、ただ、早くあいつを見つけたい一心で走った。
  足場が悪い場所だった。
  ごろごろと大小様々な石が転がっていて、危ないとオレは最初にここに来た時に思ったもんだ。
  に気を付けろよと言った尻からオレが転びかけて、苦笑で「平助がね」とか言われたのをなんでか思い出す。
  足場が悪い上に、水辺の傍は地面が陥没していて、
  そんなに高い所じゃないんだけど落ちたら足くらいは挫きそうな高さで、
  「‥‥」
  まさか落ちてないよなと思いながら覗くと、
  「!?」
  闇の中でぼんやりと浮かぶ飴色が飛び込んできた。
  オレの声に、弾かれたようにそいつが顔を上げる。
  「あっ」
  オレを見た瞬間、酷く安堵したような顔をするくせに、
  「平助。」
  オレを呼ぶ声には罪悪感の混じった色が滲んでいた。
  「大丈夫か!?」
  いても立ってもいられずにその場から飛び降りての傍に降り立つ。
  泥と土で着物をあちこち汚したは、ごめん、と申し訳なさそうに視線を伏せた。
  「足、挫いたみたい。」
  落ちたときに、とが言う。
  オレはすぐに挫いた足を見た。
  右の足首が腫れていた。
  医者じゃねえから分からないけど‥‥骨は折れてない、と思う。
  とりあえず添え木になりそうなものをみつけて、手拭いを破って細くするとぐるぐるに巻き付けて、固定する。
  「とにかく‥‥戻るぞ。」
  目の前にしゃがみ込むとは戸惑ったように「でも」と言った。
  「いいから乗っかれ!」
  少し強い口調で言うとそれ以上は言わず、ただしょんぼりと肩を落としてオレの背中にしがみついた。
  随分とはその場にいたんだろう。
  触れる身体がひどく冷たくなっていて‥‥暢気に寝ていた自分を呪った。


  帰ってくると、まずは湯を張った。
  とは言っても捻挫をしている場所を暖めるわけにもいかなくて、でもとにかく身体を暖めなくちゃいけないから、桶に湯
  を入れて部屋まで持っていった。
  それに捻挫をしていない方の片脚をつけさせて、着物を引っ張り出しての肩に何枚も掛けた。
  本当はぐるぐる巻きにしてやりたかったけど、身動きが出来ないとに言われて、止めた。

  「‥‥ごめん、な。」
  ちゃぷと温くなる湯に足をつけながらがぽつりと、呟く。
  「着物、折角贈ってくれたのに‥‥」
  駄目にした、とは汚れてしまった紅の着物を握りしめながら言う。
  オレはそのの足下で、揺れる湯を見つめながら頭を振るしかなかった。
  はやっぱり駄目だな、とわざとらしく明るい口調で続ける。
  「女の子らしくしてみようと思っても、私には無理だ。」
  性に合わない、と笑い飛ばす。
  の言う女の子らしい、っていうのがどういうものか分かんねぇ。
  でも、は女なんだから出来ないなんて事は絶対にないわけで‥‥
  「‥‥私には、綺麗な着物なんて、似合わない。」
  寂しそうに呟く言葉に、オレははっと顔を上げた。
  は自分の手元をじっと見つめていた。
  オレが贈った紅の衣を。
  ぎゅっと握りしめながら。
  「私には‥‥なれないよ。」
  言葉が微かに震える。
  じっと衣を見つめる瞳が、揺れた。
  オレは、がそんな弱々しい表情を浮かべるのを、見た事がなかった。
  そいつはいつだって強くて、真っ直ぐ揺るがなくて、
  弱いところなんて一つだってないって。

  いや、ちがう。

  オレが見ていたのはそいつの背中だったから。
  小さな、背中だけだったから。
  だから、そいつが抱えている弱さとか、不安とか、苦しみとか。
  オレは気付かなかっただけ。
  気づけなかっただけ。

  だって、迷う事だってある。
  傷つく事だってある。
  弱いところだってあんだ。

  だって、そいつは、人形なんかじゃなく感情のある人間で。
  本当は、
  オレよりもずっとずっと弱くて脆い、

  女の子なんだから――

  例えばそれが男顔負けの強さでも。
  おしとやかじゃなくても。

  女の子なんだから。

  今更のように、オレはそんな事に気付いた。
  そんなことなんで今にならないと分からないんだろうと思った。
  オレ、やっぱり馬鹿だ。

  綺麗な着物なんか着なくても。
  言葉遣いを直さなくても。

  は、
  オレにとっては一人の女の子なのに。
  守ってあげたい、ただ一人の女の子なのに。

  「へい‥‥すけ?」

  戸惑った声が耳元で聞こえた。
  ばしゃりと濡れた音がして、桶に足を突っ込んだ事が分かった。
  袴をじっとりと生ぬるい湯が濡らしていく感覚がひどく気持ち悪かったけれど、オレはそんなことよりも、腕の中に閉じ
  こめたその小ささに驚いていた。
  オレの腕にだって、すっぽり包んじまえる、細さだった。
  そうだよ、だって、女の子なんだもん。は。

  「‥‥ごめん。オレが間違ってた。」
  オレの為に色んな物を放り投げてくれたに、
  オレが出来る事なんて少ない。
  でも、
  女の子らしくさせてあげるために、着物を贈るなんて間違ってた。
  いや、
  それ以前に「女の子らしくさせてあげる」事自体が間違ってた。
  はそんなことしなくてもちゃんと女の子で、
  誰かの真似をしなくちゃいけないなんて事は無かったんだ。

  「オレは、ありのままのおまえを見ればよかったんだ。」

  オレの隣で笑って、時にはオレに意地の悪い事を言って、だけど最後には甘くて優しくなるそいつの、ありのままを見て
  いれば良かった。
  がオレのためにいてくれることに負い目なんか感じることなく。
  ただ、そいつが喜ぶならばオレも笑っていれば良かった。
  それだけで良かったんだ。

  「‥‥ありのままで、良いよ。」
  、とオレは細い背中を抱きしめて言う。
  きつく抱くと、折れてしまいそうな背中を労るように抱きながら、
  「は、そのままで良い。」
  とオレは言った。

  ありのまま。
  オレの為にここに居続けてくれるならばそれを受け入れたい。
  もしが大切な人のために戦いたいと願うなら、それを受け入れてやりたい。

  だってオレは、
  そんなが、

  「ありのままの、おまえが、好きだから――」

  まるでそう告げるのが当たり前のように、唇からこぼれ落ちた。



  ん。
  と甘えたような声が鼻から抜けて漏れる。
  それは本来唇から出るものだったんだろうけど、今はオレが塞いでるから出来ない。
  二人で暮らすようになって数ヶ月。
  初めて合わせた唇は、オレが想像していたよりも甘くて、柔らかい。
  このまま溶けてなくなっちまいそうで、オレは怖くて何度も何度も離しては合わせた。

  「へ‥‥すけ‥‥」

  苦しい、とが言ってオレの胸を押し返す。
  離した瞬間にお互いの唇を銀色の糸が伝って、なんだかとんでもなく卑猥で、だけど綺麗で。
  ぷつんと切れた瞬間に、その向こうで同じように魅入っていたの目と前触れも無く合った。

  「ぁ‥‥」

  は、オレが知らないようなとんでもなく甘くて色っぽい表情を浮かべていた。


  『ほんとうに、私でいいの?』


  そう、さっき不安げに訊ねた色はそこにない。
  ありのままのが好きだと告げたオレに、本当に自分でいいのかと問いかけた不安そうな色はない。
  あまりに不安そうで、泣きそうな瞳を見た瞬間、オレは堪らずそいつに口付けていた。
  口付けに応えてくれたのを良いことに、オレは求められているんだと勝手に解釈をしてを抱こうとしている。
  でも、今のの瞳にはオレを求めるような色があって、
  オレはわけもなくぞくりと背筋が震えた。

  「すきだ」

  もう一度、想いを刻むと琥珀色が途端に嬉しそうに細められる。
  こんな状況なのにすごく綺麗で、純粋な色で、オレはなんだか悪い事をしようとしている気分になった。
  でも、止められずにもう一度唇を合わせて、舌を吸い上げながらの帯を解いた。
  衣擦れの音にの眉根が寄る。そろりと肩口から手を忍ばせて襦袢ごと滑らせる。
  女物の着物を着ていたから勿論、胸にはサラシを巻いていないようだった。
  じっと紅色から現れる、白い肌をオレは見下ろした。
  「‥‥胸‥‥大きい、のな。」
  何が女らしくないんだろう。はどう見ても女の子の身体をしているのに。
  「‥‥柔らけ‥‥」
  大きな膨らみに手を当てると、指が沈んだ。
  まるでオレの指を欲しがってるみたいに、柔らかく深く、沈んだ。
  そのままゆっくりと指先を動かして膨らみを揺らすとの瞳が細められた。
  「んっ‥‥へ‥‥すけっ‥‥」
  女って、確か胸が気持ちいいんだっけ?
  「良い?」
  「‥‥っ」
  聞いたら視線を逸らされた。頬が赤い。多分、恥ずかしいんだと思う。それが、可愛くてオレはつい苛めるような言葉を
  口にしちまう。
  「ここ、尖ってる。」
  「や、ぁっ」
  の胸の先をゆっくりと指の腹で撫でた。
  白い膨らみの先にあるのは、薄紅色の果実だ。歯を立てたら甘い味がしそうな、それは、オレの指を押しのけるみたいに
  つんと尖った。
  「や、先、駄目っ」
  「駄目って‥‥これ、触った方が気持ちいいだろ?」
  「や、ぁっ‥‥」
  胸の先をきゅっと指の股で挟むと、は双眸を細めて甘く喘いだ。
  その壮絶な色香に、オレの背中がぞくりと震える。
  もっと、もっとその顔が、声が、見たくて、聞きたくて。
  オレの知らないの、女の部分をもっともっと暴いてみたくて。

  「ひぁっ!」

  肌に、口を付ける。
  唇に触れるのは絹のような感触と、蜜のような甘さ。
  確かめるようにあちこちに触れて、強く吸うと、赤い痕がいくつも肌に刻まれた。
  欲に濡れる肌はほんのりと色づいて、
  オレの手にしっとりと吸い付いた。

  「‥‥」
  「だ、め‥‥」
  肌の上を吐息が滑るのがくすぐったいのか、いや、感じるんだろうな。
  は切なそうに眉を寄せて、びくびくと小さく震えながらこみ上げる何かを堪えるように身体を強ばらせる。
  「我慢、すんなよ‥‥」
  「や、へい‥‥」
  「もっと、見せて。」
  帯を解いて素肌を暴いて、
  肌のあちこちにオレの痕を残して、
  の快楽を引き出して、

  「だめ‥‥や、ぁっ」

  舌先で臍の窪みを舐めながら最後の一枚も剥がして、その下にある、の女の場所を求めた。


  なぁ。と自分の口から漏れた声が余裕無く掠れる。
  あ、今オレすっげぇ興奮してるなと鼻から抜ける息が荒くなるのに気付いて思った。
  「気持ちいい?」
  問いかけに、からの答えはない。
  だからオレはぐちゅぐちゅと漏れる水音でが感じているのかいないのかを確かめるしかなかった。
  「んっ‥‥く、ぅん!」
  は必死に自分の手で口を覆って、声を押し殺している。
  恥ずかしいんだろうな。自分の、感じてる声。
  「‥‥かわいいのに。」
  呟きにが涙目でオレを睨む。
  睨まれても怖くないって‥‥いうか、睨むなよ、その顔、すごい、可愛いからさ。我慢できなくなる。
  それを誤魔化すように指を奥に忍ばせて更にの快楽を引き出す。
  掻き出された蜜が、オレの掌まで濡らして、畳にシミを作っていた。
  「んっ‥‥ふぅっ‥‥ンン‥‥」
  中の、感じる場所を擦るたびにの太股とがびくんと震える。
  程良く締まったそれは、噛みついたらすごく柔らかかった事に驚いた。男のと全然、違う。
  その太股がびくびくと小刻みに震えはじめて、そろそろの限界が近い事を示していた。
  それでもは堪えるように、首をぶんぶんと横に振って、やり過ごそうとする。
  濡れた飴色が宙を舞って、肌に張り付いて、すごく、色っぽい。
  「いいよ、。達っても。」
  一度達っとかないと、辛いだろ?と言うと、はぎゅっと閉じていた瞳を開いた。
  濡れたその瞳には、女の欲が色濃く浮かんでいた。
  はオレを、欲情した目で見つめて、ゆっくりと頭を振った。
  いやだと意思表示した。

  「へ‥‥すけ‥‥」
  「?」
  「も‥‥いれて‥‥」

  は恥ずかしそうに目元を染めながら、求めた。
  か細く震える太股を開いて、オレに全部を晒す。
  ごくりと生唾を飲むほど、の行動は妖艶で、色っぽくて、綺麗だった。

  「平助の‥‥いれて‥‥」

  我慢できないの、という声に、オレの方が限界だった。



  「平助が、私の事そんな風に思ってくれてるって思わなかった。」
  はオレの胸に顔を寄せながら小さな呟きを漏らした。
  「そんな‥‥って、好きってやつ?」
  問いかけながら瞳を覗き込むと、琥珀がちょっと拗ねたような色を浮かべてこくりと頷いた。
  「絶対、私、女として見られてないと思ってた。」
  「‥‥オレの方こそ。」
  弟としてしか見られてないと思ってた、と言葉にしたら情けなさが募るから心の中でだけ呟く。
  その代わりに、髪を撫でれば気持ちよさそうには目を細めて、更に甘えるように擦り寄ってくる。
  だから、強く抱きしめてもう一度「すきだ」と言った。
  「平助、好きの大安売り?」
  くすくすと照れくさいのを笑いながら茶化すのはの癖なのかな。
  「でも、すきなんだからしょうがねえだろ?」
  「だからって言い過ぎ‥‥ありがたみなくなっちゃうよ。」
  「じゃあ‥‥」
  オレは言葉の代わりに唇を合わせた。
  緩く、食むように唇を動かせるとの唇から「あ」と微かな喘ぎが漏れる。
  そして、背中に回っていたその指先に力が込められてちりと皮膚に爪が立てられた。

  「‥‥ありがたみ、ねえ?」
  もう一度布団に押しつけて上から覗き込むと、そいつは濡れた目元を細めて恥ずかしそうに逸らしてしまう。
  「ばか」
  悔し紛れのその言葉も、可愛くて、オレはくつくつと肩を揺らして笑っちまった。
  そのままきゅっと抱きしめるとの手は自然とオレの背中に回される。
  ぴったりと身体を合わせると柔らかな胸がオレの胸に押しつけられて、また、身体が熱くなった。
  だけど、オレがそのまま手を滑らせてをもう一度求める前に、そいつは口を開く。

  「すき」

  私も、という声はちょっとどこか固い。
  今更のようにオレはそいつに「すき」って言って貰ってなかった事に気付いて、え?って声を上げて顔を覗き込もうとし
  たら、阻むように腕の力が津良くなる。
  見ないで、ってことらしい。
  はオレの肩口に顔を埋めたまま、一度、息を吸い込んで、言った。

  「いちばん、私、平助がすき。」
  「‥‥‥‥」
  「だから、近藤さんも、土方さんも、他のみんなのこと、諦めた。」

  いっぱいあった大事なものを、捨てたとは告げる。
  捨ててまで、オレと一緒にいて、どれだけこの先時間があるのかは分からないけど。
  だけどはそれでも、オレを選んだと教えてくれた。

  「だから‥‥ね。」

  はきゅっと震える指先を離して、オレの目を覗き込んで、
  縋るような、
  求めるような、
  瞳でオレをじっと見つめて、
  言った。

  「私を遺して‥‥すぐにいかないでね。」


  オレはいつ、寿命がやってくるか分からない。
  いつ、この身体が崩れて、消えるか分からない。
  でも、それでも、
  が望むなら。
  大事なものを全部手放してまでオレを望んでくれるっていうのなら。

  もう少し、頑張って生きてみようと思う。

  だって、
  生まれて初めて、惚れた女の我が儘だから。


                            


Il primo amore, che ha amato la fine,e ancora.
 
~最初に恋したのも、最後に愛したのも、やはり貴方でした~


初・平助裏!!
平助の裏って難しいのねー!!
なんていうか、彼は子供らしいんだけど
実は大人っぽいところがあって、その揺れ
みたいなところを書くのが非常に難しい!
因みにタイトルは微妙に文字表記できない
もんがあったんですが、深く気にしないで
ください(汗)