「それでは呟いてみましょう」
「なんて呟けば良いんだ?」
「もうお好きにどうぞ、心の赴くままに……でも、総司卑猥な事とか誰かを貶める事とか書くなよ! 特に土方さん絡みの!!」
 釘を差しておくと総司の顔が変な風に歪んだ。
 ありゃ打つ気満々だったな。先手を打っておいてよかった。
 因みに総司のアカウントは@konpeitouだ。一瞬誰だろうって思うけど、まあ分からなくもないので良しとする。
「まずは初ツイートとか、テストとか、そういうので良いんじゃないかな」
「おう、分かった」
 それぞれが一斉に文字を打ち始めると私のタイムラインに彼らのツイートが並び始める。

 沖田 @konpeitou      2分前
 テスト

 平助 @toudou_heisuke   2分前
 初ツイート! 一番乗り

 原田 @harada_S      1分前
 とりあえず、宜しく頼む

 沖田 @konpeitou      1分前
 平助一番乗りじゃないし。格好悪い

 平助 @toudou_heisuke   1分前
 うるせーー!!

 斎藤一 @hajime_saitou   42秒前
 よろしくたのめ

 沖田 @konpeitou      10秒前
 一君、誤字

「とりあえずみんな無事に打てるみたいだね。ではでは各自、好きなように呟いてください。んでもって私は土方さんに報告に行ってきます」
 言って立ち上がると総司が声を掛けてくる。
「土方さんのアカウント分かったら教えてねー」
「フォローするの?」
「ブロックする」
「………」



「てな感じで、みんなそれぞれ登録は出来たみたいです」
 報告すると土方さんはそうかと一つ溜息を吐いた。
「どうにか使えそうか?」
「……まあ、少なくとも一以外はなんとかなりそうです」
 他の三人はなんだかんだ言って飲み込みが早いというか、総司に至っては早すぎてこっちが驚くくらい。
 ただ一は……慣れるまで大変だろうな。下手するとツイートする手間を惜しんで直接言いに来たりしそう。
「まあ、ちょっとの間は辛抱が必要かも」
「そうだな。悪かった、あいつらの面倒まで見させて」
 もう下がって良いぞと言う彼に私ははいと答えて腰を上げ、
「あそういえば土方さん」
 忘れるところだったと声を上げる。
「私のアカウントなんです。良かったらフォローしてください。他のみんなも私の所から繋がってますし」
「ああ、分かった」
 後でしておくと言う彼に、私はそれじゃあともう一度言って部屋を後にした。

 その日の夜、
 何か動きはあったかとツイッターを見てみると、フォローが一人増えていて、

 土方 @tosizou_h     8秒前
 @setsuna 今日は助かった。また明日も頼む。
 早く休めよ。おやすみ。

 そんな文字が鍵付きで書いてあって、翌日彼のフォロワー数が増えていた時にはそのツイートは綺麗さっぱり消えていた。


  ついったぁ


  さらりとこういうことをする土方さん。
  でも他の野郎には見せない☆