藤堂編

  「よし、今日こそ一本取ってやるからな!!」
  「その台詞五十三回目」
  「い、いちいち覚えてんなよ!! くっそ、絶対今日で連敗止めてやる!」
  「はいはい、どっからでもどうぞー」

  「平助五十四敗目、と」
  「ち、っくしょぉおおおお!!」
  「だから、踏み込まれた瞬間に引くのおまえの悪い癖」
  「だ、だって、か、顔が……」
  「安心しろ、命も唇も奪うつもりはない」
  「!?!?」



  斎藤編

  「一とやるの久しぶりだね」
  「ああ。ずっと総司に邪魔をされていたからな」
  「あいつおまえと打ち合うの好きだからなぁ」
  「……そうなのか?」
  「そうでしょ。まあ、いいや、とりあえずやろう」
  「そうだな。では、参る!」

  「――待った」

  「そ、総司!?」
  「駄目だよ一君。君は僕とするんだから」
  「総司、邪魔をするな。今日はあんたとではなくと稽古を、」
  「駄目駄目、となんかさせないよ」
  「……私とさせないって……なんでだよ」
  「だって、一君、稽古と銘打っての胸を触ろうとするんだもん」
  「あ、あれは、事故であってだな!!」
  「でも一君、胸の大きなお姉さん好きだよね? いつも隣でお酌するお姉さんも、胸が大きいし」
  「ち、違う! 俺は一人で、」
  「………………一、そうなの?」
  「だ、だから違うと言っている!! そんな目で俺を見るな!!」



  原田編

  「と手合わせか……」
  「あれ、もしかして、私とは嫌ですか?」
  「嫌って事はねえんだけどな」
  「けど?」
  「いやほら、おまえを傷つけるわけにもいかねえだろ」
  「……へえ、左之さん。私から一本取る気満々?」
  「そりゃまあ勝負するからには、な」
  「俄然やる気出てきたんで、やっぱりやりましょう」
  「でもなぁ、万が一傷でも残ったら……」

  「じゃあその場合は左之さんが私をお嫁さんに貰ってください――なぁんちゃって」

  「俺は、冗談にしねえぞ、それ」
  「え!?」



  沖田編

  「土方さんに止められましたー」
  「つまんないね」
  「全く、死人が出るとかひどすぎる」
  「人なんて今まで巻き込んだ事ないのに。土方さん以外」
  「そうだよな。私たち誰も巻き込んでないよな。土方さん以外は」
  「そうそう……あーあ、残念だな」
  「ほんとだよ。今日こそ総司をべっこべこにしてやろうと思ってたのに」
  「それ面白い冗談だね? 平助じゃあるまいしにやられっぱなしなんてあり得ないよ」
  「試してみる?」
  「そうだね。それじゃ木刀もないから、真剣で」
  「乗った」

  
「だから、やめろっつってんだろ!!」



  土方編

  「土方さんと手合わせするの、初めてですよね」
  「てめえとすんのは色々面倒だからな」
  「それって避けてたって事?」
  「さてな。おら、ぐだぐだ言ってねえで、始めるぞ」
  「はい。お手柔らかに」

  「ひ、卑怯だ……」
  「卑怯って、いつもてめえがやってる手だろ? 相手に動揺させるために懐に思いっきり飛び込んでくってのは」
  「そうだけど!」
  「気にせずぶっ叩けばおまえの勝ちだったのにな」
  「あんな綺麗な顔叩いたら私殺されるでしょ、主に土方さんを慕ってるお姉さんがたに!」
  「そりゃお互い様だ。おまえの顔に傷なんかつけてみろ、幹部連中全員から責められる」
  「………」
  「まあ俺の場合、おまえの顔にゃ傷を付けねえ自信はあるけどな」
  「ほぉう、それでどう勝つと?」
  「――こうする」


  「……てめえ、人の顔思いっきりぶっ叩きやがって。さっき言ってた台詞はどうした?」
  「土方さんがあんな事するのが悪い!」
  「あんなって、口づけただけじゃねえか」


  手合わせしたみた☆