「土方さん、好きな子に着て貰うとしたら何色の下着がいいと思います?」
沖田の問いかけに土方は思い切り眉間に皺を寄せ、
「‥‥」
ふいとそっぽを向き、無視を決め込む。
そんな彼の様子にひどいなぁと沖田は苦笑した。
「減るもんじゃないんだし、答えてくれてもいいじゃないですか。」
「断る。
おまえに関わるとろくなことがねえ。」
散々酷い目に遭わされてきた‥‥と呟くが、実はある意味彼が突いてくれたおかげで進展しているという現実でもある。
彼としてはそんなつもりはないのだろうが‥‥
「大丈夫ですって、これはには話しませんから。」
沖田は約束しますと土方の目を見てにっこりと笑った。
その笑顔は全然信用できないが、まあ、下着の好みを話した所で、痛くも痒くもない‥‥か。
仕方ねえなと土方は呟き、少し、考えた。
好きな女に着て欲しい下着‥‥
それはに着せたい下着ということで、それはもちろん、
「白、だな。」
「王道ですね。」
意外、と沖田は目を丸くした。
「黒とか、赤とか来ると思った。」
「そりゃどういう意味だよ。」
いや、だって土方さん案外エロそうだし‥‥
という言葉を心の中で呟き、でも確かに彼が白を選んだ理由はよく分かる。
「‥‥白が似合いますからね。」
飾り気のない、シンプルな色がには似合う。
黒や赤では彼女には重たすぎるのだ。
だからといって、ブルーやピンクだと子供っぽくなる。
案外白‥‥というのが一番あわせにくいのだが、それがにはよく似合っている。
肌が白い彼女はそれではぼやけてしまうかもしれないが、
「感じてるうちに肌はピンクに染まりますからね。」
快楽で乱れ色づく肌を、無垢な白が守る‥‥というのもなんだか背徳的で、エロい‥‥と沖田は思った。
「あ、じゃあじゃあ、どんなのがいいです?
エッチさを追求して、紐とか?」
「ああ?
そりゃ、控えめにレースでいいんじゃねえか?」
「なるほどなるほど。」
沖田はぽんと手を叩いた。
控えめな白い下着。
ポイントをレースが飾っていると綺麗だ。
いやらしさを感じさせない清楚な感じが、また、更にいやらしさを増すものかもしれない。
「僕は断然ピンクですけどね。」
千鶴ちゃんに着せるならと答える彼に、土方は苦笑で「ああそうかよ」と呟いた。
それから数日後、
「はい、僕からのささやかながらのプレゼント。」
土方の元を訪れていたに、沖田は綺麗にラッピングされた包みを差し出した。
「なに?これ。」
は首を捻る。
プレゼントを受け取るには誕生日は早い。
クリスマスはあと三ヶ月後だし、クリスマスプレゼントを渡すなら相手が違う。
ああ、バレンタインのお返しかと思ったがそれにしては遅すぎるし大きすぎる。
「日頃の感謝と今までのお詫び。」
「殊勝な心がけだな。」
「二人にってことで。
それじゃ、後はごゆっくり〜」
と一方的に言いたい事だけを言うと、沖田はひらと手を振って部屋を出ていってしまう。
勝手な奴だとは苦笑を漏らし、とりあえず何だろうかと包みを開ける。
隣で見ていた土方は一抹の不安を覚えていた。
今、
確かに彼は二人に、と言った。
に、ではないのだとしたら嫌な予感がする。
「おい、。
開けるのちょっと‥‥」
待て、と言ったときには遅かった。
ぱか、と箱の蓋を開けた瞬間、は無言になる。
中に入っていたのは‥‥
「あんの野郎っ」
白い、レースの下着であった。
それは土方がイメージしたよりも清楚で、しかし大人っぽい下着だった。
に良く似合いそうなそれで、やはりあの男は趣味がいいと土方は内心で舌を巻いた。
同時になんて無駄遣いで、お節介な嫌がらせだと。
しかし、
「なんで!」
が思わず叫んだ。
「なんであいつ、私のカップ知ってるわけ!?」
俺色に染まれ
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