一番組組長 沖田総司。
あーうん、私が言うのもなんだけど、とんでもなく厄介な奴。
子供がそのまま図体だけ大きくなっちゃった‥‥って感じの男なんだけど、これが結構聡い男で嫌になる。
聡い上に性格最悪。
たまーに優しいんだけど、まあ大抵は意地悪かな。
そんでもって例に漏れず、私の事に関しては過保護。
「駄目だよ、。」
にっこり笑顔で却下され、私はうぐぐと呻く。
頭ごなしに「駄目」というんじゃなくて言い分は聞いてくれるけど答えは他と同じだ。
「いいじゃん、少しくらいさー」
なあなあと腕に捕まって、ちょっとだけ甘えてみる。
総司はにこにこと笑顔で私を見て、
「、甘えても可愛いけど‥‥‥駄目。」
あっさりと却下された。
しかも、こちらに一撃を食らわして、だ。
恐るべし‥‥
「う、でも、ちょっとくらい考えてくれたって‥‥」
「考えたけど、駄目。」
「けちー!!」
「けちでいいよ。でも駄目。」
うーっと唸ると総司はにっとなんでかすごく嬉しそうな顔をした。
ああそうか、こいつはとんでもなく性格が悪い男だった。
悔しがる私を見て、ちょっとばかり優越感とか思ってるんだろ。
「優越感なんて思ってないよ。」
「‥‥‥なんで私の心を読む。」
「読めちゃうんだもん。」
「‥‥じゃあ、どう思ってるんだよ。」
「悔しがるは可愛いなぁって。」
超、性悪!!
変態!
ひき、と口元を引きつらせた私は、拳を握りしめつつ反撃に出ようと思考を巡らせる。
必殺。
お色気戦法。
―― 一を一日使い物にならなくさせ、土方さんにはとんでもないお説教を食らったという過去は忘れた。
だけど、
「‥‥‥‥‥‥‥あれ?」
くるっと背を向ける私に総司は拍子抜けという声を上げた。
「、お色気戦法‥‥しないの?」
「しない。」
顔を覗き込んだ総司はどうして?と首を捻る。
そんなの当たり前じゃん。
「‥‥おまえにお色気戦法は通じない。」
「‥‥‥‥‥‥」
「だから、しない。」
総司にそんなことしたらとんでもなく恥ずかしい思いをさせられるに決まってる。
「それで?」
とか笑顔で言われたら私でも立ち直れない。
ああ、想像しただけで恥ずかしい!あの空気はやめてくれっ!拷問だ!!
「‥‥いいから。」
とこう一人で想像して無駄な事に悶えてたら不機嫌そうな声が聞こえた。
なんだ?と顔を上げれば総司が手をこちらにこう伸ばしてきて、
「わ!?ちょ!なにすんだ!おまえは!!」
私の袷を開こうとする。
「一君や土方さんに見せて僕に見せないって、狡いじゃない。」
慌ててその手から胸元を隠すと、総司はそう不満げに言う。
狡いってなんだ狡いって!
「いいから、僕にも見せてよ。」
「あほか!なんで私が見せなきゃいけないんだ!」
「一君や土方さんには見せたんでしょ?」
「そりゃ、作戦だから!!」
「じゃあこれも作戦でいいじゃない。」
「なんのだよ!っていうか、おまえそれただ見たいだけだろ!」
ち、と舌打ちが聞こえた。
と思った次の瞬間、
ぐとさっきまでのが嘘のように強い力で腕ごと掴まれて、
「――見せろ――」
強い言葉と共に獰猛な翡翠の瞳で見つめられて、
私は陥落せざるを得なかった。
「うん、このお色気戦法なかなか効くね。」
「‥‥‥‥」
「僕もすっかり魅せられちゃったよ。」
「‥‥‥‥」
「こんなことされたらどんなお願いだって聞いちゃうかもしれないね。」
「‥‥‥‥」
「ってことで、。」
総司はこんな事を言った。
「次からお強請りはこれで――」
二度と御免だこんちくしょう
お色気大作戦
総司君は色んな意味で手強い。
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