「おまえ‥‥女って自覚ねえだろ」
「はい? 何がですか?」
呆れた俺の声には首を捻る。
恐らく、俺の言いたい事はまったくもって伝わってねえ。
いや、確かに、そいつに仕事を頼んだのは俺だ。
備品が足りなくなったから持ってきてくれって頼んだのは俺だ。
そしてその備品は倉庫の一番上に積み上げられていて、標準よりも少しでかいくらいのには背伸びをしたって届か
ない。だから、脚立を使うしかない。それも分かってた。
俺の予想通りには脚立を使っている。
だけど‥‥
「普通、スカートで上がるか?」
は、俺の予想に反して、タイトスカートで脚立に上っていた。
しかも、一番上。
おいおいそりゃ無防備すぎるだろ。
いや、分かってる。頼んだのは俺だから悪いのは俺だってことは。
でもだからって‥‥
「‥‥えっと、確かA3の封筒でしたよねー」
脳天気な声が降ってくる。
俺はじろっと睨み付けるように、を見上げた。
脚立に上ってる‥‥とは言ってもしゃがみ込まない限り中は見えない。
見えない代わりにその脚が目線の高さにあるわけで。
惜しげもなく脚線美を晒している事には気付かない。
他の奴らがいなくて良かったぜ‥‥
一つ、溜息を吐きつつふと、視線を上から目線の高さにして、ふと、違和感に囚われる。
なんだか、
変だ。
そいつの足。
なんか‥‥おかしい。
もしかしたら目が疲れてんのかと思ったが、違う。
「‥‥‥‥‥おい、雪村」
俺はまじまじとそいつの足を無遠慮に見た後、こう、訊ねてみた。
「おまえ、ストッキングどうした?」
下手しなくても、こいつはセクハラ発言だ。
普通の女なら平手の一つも飛んできて「最低」だの「いやらしい」だのと俺を軽蔑することだろう。
が、そいつは違う。
「あー、さっき伝線しちゃったんですよー」
あっけらかんと、笑って、言うだけ。
俺は顔を顰めた。
「いや、ほんと見事なもんだったんですよ‥‥こう、ぴーっと入って‥‥」
見るに耐えない状態だった、とは訴える。
いや、だからって、
脱ぐか? 普通。
普通は、履き替えるとか‥‥しねえか?
「‥‥替えがなかったんですよー」
無言の抗議に、は唇を尖らせた。
替えがなかったから、とりあえず、脱ぐだけ脱いだんだと。
だからつまり、は今、
ストッキングを穿いていない状態。
つまりは、俺の目の前にあるのは生の肌って事。
なんだと? それをおまえは俺が気付く今の今までずっと晒してたって事か?
この脚を。
しかもその状態で脚立の上に上ったりしやがったってのか?
「まあ、後数時間ですからこのままでも良いですよね」
へらっと笑うに、俺は低く呻くように言い放った。
「いいわけあるか」
低い声には「へ?」と小さく声を上げ、
「っ!?」
次に突然引っ張られ小さな悲鳴を上げる。
落ちる。
は思っただろう。
それを俺は腰を攫って受け止め、ふわりと最上段に下ろしながら顔を近づけた。
瞬間、がぎょっとしたような顔になるのを見上げて、にやりと笑う。
「ひじかたさっ!?」
歪んだ唇は、そのまま真っ白い肌に吸い寄せられるようにして‥‥
「ッン!」
内腿に口づける。
柔らかく、暖かいそこに唇で触れて、
そして、
――強く噛みついてやった。
「ゃぁっ」
その瞬間、の唇から甘ったるい声が漏れ、身体がびくりと大袈裟なくらいに震える。
このまま持って帰って好きにしてやりたくなるくらいの反応だったが、生憎とこの後の仕事は外せない。残念だが。
その代わりと言う代わりにきつく噛みついて、吸い付いて、俺の印を刻んだ。
真白い肌に、赤い、痕が刻まれた。
そこはスカートでは隠せない場所だった。
いくら内腿と言えども歩けば、見える。
そして、見えれば、目立つ。
白に赤はひどく映えるから。
「な、な、なっ」
身体を起こした俺には顔を真っ赤にして「な」という言葉を連呼する。
恐らく「なんてことをするんだ」とか言いたいんだろう。
俺は挑発するような笑みを浮かべて言った。
「見られたくなかったらとっとと替えを買ってこい」
他の男にこれ以上見せてやるつもりは毛頭、なかった。
花びら ひ とつ
「生足見ていいのは俺だけ」とか真顔で言う
変態武将です(土下座)
この後真っ赤な顔で彼女はストッキングを買
いに走ったに違いない。だけどその間他の男
に見せたとか、無茶な事を言われて結局後で
お仕置きされるんですよね。そんな妄想ばっ
かり膨らみます!!
|